【埋め立て承認撤回】翁長知事が明言 背水の陣でアベ政権と全面対決=沖縄を孤立させるな

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米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に反対する大規模集会が25日、移設先に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前で開かれた。

この「違法な埋め立て工事の即時中止・辺野古新基地建設断念を求める県民集会」(辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議主催)に集まった3500人超の参加者を前に、翁長雄志沖縄県知事は、仲井真弘多前知事が出した辺野古埋め立て承認に関し「あらゆる手法で撤回を力強く必ずやる」と述べ、承認撤回の意向を初めて明言した(沖縄タイムスなど)。

昨年11月、辺野古埋め立て承認を取り消した翁長知事の処分が有効かどうかを巡って争われた訴訟で、最高裁は県側敗訴の判断を下した。それを受けて国は、昨年12月には早くも工事を再開している。

本来、漁業権が設定されている水域で海底の岩石などを破砕する作業には、知事の「岩礁破砕許可」が必要だが、翁長知事の前任者である仲井真前知事がその許可を政権に与えていた。

そこで翁長知事は、その「許可」の期限が切れる今年3月末以降、更新をしない方針を固めていたが、何が何でも基地建設にまい進しようとするアベ政権は、岩礁破砕許可の再申請を行わないで埋め立てを強行する口実として、漁業法31条を持ち出してきた。

これに呼応して水産庁は、漁業法31条に基づく漁協の総会決議が、3分の2以上の書面同意を得れば、漁業権の放棄に県の同意や許可は必要ないとの見解を示した。

その上で国は、県の頭越しに地元の名護漁協に対し、「カネの力」を振りかざし、損失補てんをちらつかせて、今年1月13日、総額6億円(「漁師(組合員)1人につき年400~500万円の補償」=「田中龍作ジャーナル」)で漁業権の放棄にまでこぎつけた。

しかし翁長知事は3月16日の記者会見で、国が岩礁破砕許可は不要と判断したことについて、「長年の水産庁の見解が、辺野古案件のために恣意的に変更された」と批判。

水産庁はこれまで「漁協と事業者の間で漁業権の変更(一部放棄)を契約することは、当事者間の民事上の問題で、漁業権が当然に変更されるものではない」と都道府県を指導してきた(朝日新聞DIGITAL)が、その解釈を一方的に変更する異常事態になっている。

こうしたことから県は、水産庁のこれまでの指導内容を基に、「漁協が一部海域の権利を放棄しても漁業権そのものが消滅するわけではない」として、4月以降に国が無許可で岩礁破砕を行った場合、県漁業調整規則違反として、行政指導や検察庁への告発を検討。併せて工事差し止め訴訟も行う方針であることを明らかにしている。

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他方、国は沖縄がどんなに基地反対の意思を示しても、それを一顧だにすることなく、新基地建設の方針を変えない。県民の声を圧殺し、民主主義とともに葬り去ろうとする政権の意志がはっきりと見える「カネと力」による“脱・憲法的”“強権的”なやり方だ(→参照:琉球新報)。

こうしたアベ政権の強権的手法は、司法をも巻き込み、日本を軍事国家に変質させる危険なものであり、単なる「手続き論」である従来の「承認取り消し」ではらちが明かないことが、この間の戦いで明らかとなった。

このため、昨日の翁長知事の決意表明は、従来の埋め立て承認の「取り消し」から大きく一歩踏み出し、全く異なる視点から行政行為を中断に追い込むことができる「撤回」を明言した意味は大きい

「取り消し」と「撤回」の違いとは?「撤回」の持つ意味は?

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(東京新聞)

昨年12月の「取り消し訴訟」判決は、前知事が出した辺野古埋め立て承認には“瑕疵があった”として翁長知事がその承認を取り消した(15年10月)のに対して、「取り消しの取り消し」を求めて国が訴えたもので、最高裁は国側の言い分を認め「取り消しは違法」との判断(県側敗訴)を示した。

これに対し、翁長知事が25日に表明した「撤回」は、承認そのものには“瑕疵はなかった”場合でも、行政行為(埋め立てに伴う先行工事等)後に新たな事情が生起した場合、行政の合目的性の回復のためにとられる措置であり、特別の法的根拠は不要とされている(学説上の「撤回自由の原則」として通説)。

したがって、前知事が承認した後の各種選挙で、移設反対の民意が相次いで示されたことは、十分に「行政行為後の事情の変化(=新たな事情の生起)」に該当するとみられる。

そうであれば、翁長知事が埋め立て承認を撤回すれば、再開した工事は再び中断に追い込まれる公算が大きい。

とは言え、一般論としては撤回が認められるとしても、すでに行われた行為を撤回することによって利益を侵害される者が存在する場合もあり、そこからの信頼性の毀損などの法的安定性が害されるとの考えもあり得る。

そのため、撤回する側とそれによって不利益を被る側との間を比較考量することで“撤回の可否”は判断されるべき問題とされているようだ。

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そこで、辺野古基地建設工事の承認撤回は再び法廷闘争に持ち込まれる可能性が強く、その場合には、承認後の民意が「建設反対・県民の基本的人権の擁護」に大きく動いた点と、それに対して国の統治行為としての「日米安保・米軍基地必要論」との比較考量のせめぎ合いとなるとみられる。

その場合は、当然のことながら日本の司法が、国家の利益と県民(市民・国民)の利益を比較し、果たしてどちらに向いているのかが明確となる

言い換えれば、国家があって国民があるのか、国民が国家を主体的に構成しているのかといった、国の基本的な在り方、あるいは憲法の根幹にかかわる問題として提起されてくることになる。

現代の市民社会においては、国民の基本的人権が最大限尊重されなければならないとする立場から、後者の考え方が当然であるが、アベ政権とそれを支えている「日本会議」などの極右においては、何よりも国家を優先させる考えが支配的だ。

そのことは、図らずも「森友学園問題」で、「天皇のために国民は心身を捧げよ」とする教育勅語に共感を示し、学校でそれを教えることを是とする勢力が、政権内部を席巻している危険な風潮が浮き彫りになった。

そうした意味において、翁長知事の「承認撤回」によって、辺野古基地建設の問題は、私たち国民一人一人と国家との関係のありようにもかかわる本質的な問題として司法の俎上に上ることになるのであり、決して沖縄という一地方自治体だけの問題ではないことが一層はっきりとしてくる。

このところ、連日マスコミで報じられている森本学園とアベ政権の癒着、憲法の制約をないがしろにする自衛隊の海外派兵とPKO情報の隠蔽、さらには、戦前に猛威を振るった治安維持法まがいの「共謀罪」の閣議決定などは、つまるところ、国民を国家の僕(しもべ)としようとする極右・アベ政権の、強固な「戦前レジーム」回帰志向と軌を一にするものだ。

したがって、この基地反対の沖縄県民の闘いは、日米安保を基軸とする保守長期政権の腐敗・堕落を糾弾する全国民共通の課題として、全面的に共有される必要がある。

翁長知事のこの承認撤回は、少なくとも今年2月の知事訪米の前に表明しておくべきだった。あまりにも遅かったとの声も、現地にはある(沖縄タイムスプラス2017年2月22日)。

だが、だからと言って本土の私たちが「沖縄」をあきらめたり、見捨てたりしても良い理由にはならない。

マスコミを含めて、今まで私たちはあまりにも何もしてこなかった。そのことは必ず、ブーメランのように私たちの行く手を阻む大きな困難となって、本土の人間の頭上に舞い戻るはずだ。

沖縄を再び見殺しにするようなことがあれば、日本国民は、またしても大きく一歩後退となることは間違いない。沖縄の海を、日本の地方自治を、そして日本国憲法を守るのは、いまを措いてほかにない。

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翁長知事「承認撤回必ず」
辺野古集会に初参加 3500人、新基地反対訴え

(琉球新報電子版2017年03月26日06:30)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に伴う新基地建設計画に反対する「違法な埋め立て工事の即時中止・辺野古新基地建設断念を求める県民集会」(辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議主催)が25日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で開かれ、3500人超(主催者発表)が集まった。翁長雄志知事は、名護市辺野古の新基地建設で辺野古沖の埋め立て承認に関し「撤回を力強く、必ずやる」と初めて明言した。翁長知事の辺野古での集会参加は就任以来初めて。 

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基地に向かって拳を突き上げる人たち=25日午後0時
すぎ、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前
(花城太撮影)(クリックで拡大)

 従来「撤回」について翁長知事は「常に視野に入っている」「しっかり見据えてやる」などと述べていたが、この日の発言で「必ずやる」と踏み込んだ。撤回の時期については明言しなかった。

 翁長知事が明言した「撤回」は承認後の事情の変化を理由に行使が可能で、承認前の事情を理由とする「取り消し」と同様の効果があるという。政府は対抗措置として代執行や行政事件訴訟法に基づく執行停止を検討している。

 翁長知事は「沖縄の新しい闘いがまたこれから始まるということで私も参加した。われわれは心を一つにし、新辺野古基地は絶対に造らせない」と語った。

 集会の決議文は「沖縄県民と全国の多くの仲間の総意として『違法な埋立工事の即時中止と辺野古新基地建設の断念』を強く日米両政府に求める」と強調した。

 米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する抗議行動中に逮捕され、約5カ月の勾留を経て18日に保釈された沖縄平和運動センターの山城博治議長も集会前にゲート前を訪れた。

 山城議長は長期間勾留されたことに触れた上で「抑圧される者が、差別と犠牲を強いられる者が、くじけないで頑張り続ける姿を私たちは発信しよう」と参加者らに力強く訴えた。

 大規模な県民集会は昨年12月22日の名護市安部区へのオスプレイ墜落に抗議する集会以来。辺野古移設阻止やオスプレイ配備撤回などを求めた建白書の実現を訴え、新基地建設反対の県民世論が高まっていることを改めて県内外に訴えた。

(転載おわり)


<社説>「辺野古」反対集会 屈しない決意の表明だ 
知事の撤回明言を評価する

(琉球新報電子版2017年03月26日06:01)

 時折小雨が降る中、主催者発表で3500人を超す人々が集まった。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対し、工事の即時中止と建設の断念を求める米軍キャンプ・シュワブゲート前の集会は熱気に包まれた。
 知事就任後、初めて辺野古の集会に参加した翁長雄志知事はあいさつで、埋め立て承認について「撤回を力強く、必ずやる」と述べ、撤回することを初めて明言した。工事を止めるための行政決断に踏み切ることの表明である。高く評価したい。

民意に背く基地建設

 沖縄からどんなに反対の意思を示しても、国は一顧だにすることなく、新基地建設の方針を変えない。その強硬な姿勢は強大な権力の横暴さを如実に示すものだ。恐怖すら感じる。

 集会で翁長知事は現在の国の姿勢について「占領下の銃剣とブルドーザーとまったく同じ手法で、あの美しい大浦湾を埋め立てようとしている」と批判した。米統治下の沖縄では米軍が住民を銃剣で脅し、ブルドーザーで家屋を押しつぶして基地建設を強行した。

 知事が当時の米軍と現在の政府の姿を重ねたのは極めて妥当だ。集会に多くの人々が集まったのも、国の姿勢に対する強い危機感の表れだ。繰り返し集会を重ねなければ、反対の声はなかったことにされてしまう。こうした切迫した思いで各地から人々が集まったはずだ。

 この1年、国は沖縄の民意にまったく耳を傾けることなく、やみくもに基地建設へと突き進んできた。昨年3月4日、辺野古代執行訴訟の和解が成立し、県と国が「円満解決に向けた協議を行う」ことになり、工事はいったん中断した。しかし国はその3日後、知事の埋め立て承認取り消しを取り消すよう求める是正指示の文書を県宛てに発送した。

 協議を始めることなく、工事再開に向けた手続きを優先させたのだ。明らかに和解に背く行為だった。

 その後、国は県が是正指示に応じないとして不作為の違法確認訴訟を提起した。そして最高裁が12月20日に県敗訴の判決を下した。

 敗訴確定を受けて県は同26日、埋め立て承認取り消しを取り消した。判決に従うため、苦渋の選択をせざるを得なかった。

 すると国は翌27日に工事再開に踏み切った。これまでにコンクリートブロック247個を海底に投下した。汚濁防止膜の設置も進め、4月にも護岸工事に着手することにしている。

踏みにじられる人権

 新基地建設だけではない。この1年だけでもさまざまな米軍基地に起因する事件事故が起きている。昨年4月、元海兵隊員で米軍属の男が女性を乱暴目的で暴行を加えて殺害する事件が起きた。

 12月には米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部集落の海岸に墜落した。今年3月には米軍ヘリがつり下げていたタイヤが落下する事故が起きている。これで県民がどうやって安心して暮らせるというのか。

 集会決議文にはこうある。
 「私たち県民は強く訴える。国民の当然の権利である生存する権利を、自由および幸福追求の権利を、そして法の下の平等を」

 米軍基地の存在が国民としての当然の権利を踏むにじってきた。そしてさらに新たな基地が造られようとしている。

 大多数の県民が辺野古移設を受け入れられないと思うのは当然ではないか。

 約5カ月の長期勾留を経て保釈された沖縄平和運動センターの山城博治議長がこう述べた。

 「どんなに権力が襲ってきても、われわれは屈しない。県民は屈しない」

 参加者は盛大な拍手で呼応した。今後も県民挙げての「屈しない」取り組みは続く。正義は県民の側にある。

(転載おわり)


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米紙に「最悪だった」とつぶやかれた沖縄知事の訪米 
切り札を温存する時間はもう残されていない
[平安名純代の想い風]

(沖縄タイムスプラス2017年02月22日12:27)

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 「沖縄県知事のDCへの旅は最悪だった。トランプ政権には相手にされず、地元では注目を浴びた」

 米紙ワシントン・ポストの東京支局長はツイッターで5日、朝日新聞の英語版の記事を引用する形で、翁長雄志知事の訪米行動をそう伝えた。

 米首都ワシントンで面談したトランプ政権関係者や上院議員はゼロ、当地での記者会見に参加した米記者は1人、日本メディア以外で訪米行動を伝えた記事は2本。前述の一文は、批判ではなく、こうした事実を端的に伝えたにすぎない。

 本紙は昨年11月27日に、トランプ政権が名護市辺野古の新基地建設計画を維持する方針と報じたが、翁長知事はトランプ氏が計画を見直すのではないかとの期待を持ち続け、訪米最終日に、訪日中のマティス国防長官が日本政府と現行計画を確認しあったとの報せに接し、落胆した。

 翁長知事は「県民に対して失礼なやり方ではないか」と表現したが、県民を引き合いにした感情論ではなく、なぜ米側が協議のテーブルにつかなかったかを振り返らねばなるまい。

 空港で訪米行動から帰国した知事を出迎えた中には、「埋め立て承認即時撤回」のプラカードを掲げた県民らもいたそうだ。大浦湾では、巨大なコンクリートの塊が次々と投下され、海上工事が着々と進められている。体を張って海を守ろうとする県民にはまさに緊急事態だが、県側から聞こえてくるのは撤回慎重論ばかりだ。

 県は撤回を「最後の切り札」として温存しているようだが、「撤回」という「切り札」は果たして先送りできるものなのか。

 「辺野古移設はすでに決着した」と語るマティス長官の訪日に同行した国防総省筋に聞くと、「沖縄は撤回が有効な切り札となりえたタイミングはすでに逸したのではないか」と問いを向けてきた。

 元裁判官の仲宗根勇氏は「工事が進めば進むほど裁判になったとき、撤回の効果は薄れ撤回の有効性の全否定もあり得ます」(本紙2月9日論壇)と警鐘を鳴らし続けている。

 撤回カードは、翁長知事が就任直後に切ってこそ、最大の効力を発揮する「切り札」となりえた。切り札なしの3度目の訪米行動は、県民が抱える危機感すら伝えられなかった。タイミングを間違えば切り札もただの札になる。時間はもう残されていない。(平安名純代・米国特約記者)

(転載おわり)


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