【「共謀罪」閣議決定】ここまで来た、“治安維持法”の復活を告げるアベの大暴走

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1925(大正14)年、時の政府は普通選挙法というアメを成立させるのと抱き合わせに、強烈なムチとなる治安維持法を同時に制定した。

この法律は、国民の自由な政治的意思を表明する機会を奪い、政府に反対する運動を徹底して取り締まることを目的としたものだった。

初の普通選挙が行われた直後の1928年3月、全国一斉に、天皇制に反対する国民や共産主義者、無政府主義者らに対する弾圧を行った。この法律により、約1600人が一気に検挙され、追い打ちをかけるように、成立してまもないこの法律の最高刑を死刑にまで引き上げた

そして太平洋戦争突入を目前にした1941年には、国家の方針に従わないという理由だけで取り締まることができるように、治安維持法はほぼ全面的に改悪された。

日本の敗戦までの間に、治安維持法により逮捕・拷問を受けた人数は数十万人にも上ったと言われ、1000人以上が拷問により虐殺されたり、あるいは劣悪な留置場で病気や栄養失調によって命を落としたと言われる。

1933(昭和8)年2月20日のプロレタリア小説作家・小林多喜二(『蟹工船』など)の築地署での虐殺や、関東大震災直後の1923(大正12)年9月16日の無政府主義者・大杉栄・伊藤野枝・甥の橘少年ら3人が麹町憲兵隊の甘粕雅彦大尉らによって殺害された事件は有名だ。

日本が引き起こしたアジア・太平洋戦争は、こうした国内での体制固めとともに他民族・他国民に対する侵略戦争として火蓋が切られたのだった(実際は1937年の「満州事変」から始まっているとされる)。

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そしていま…

またしても安倍シンゾ政権の最も危険な一面が顕わになった。計画段階での処罰を可能とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の閣議決定と国会提出だ。

法案は処罰対象となる団体や合意の方法、処罰の前提となる「準備行為」の定義がいずれも不明確かつ曖昧のままで、捜査機関に大きな裁量の余地を与えるものであり、警察や検察などの恣意的な運用によっては、テロとは全く無関係の市民団体や、政府の政策や行為に反対を唱える反政府団体などの日常的な行為が「準備行為」と認定される恐れがあるものだ。

この改正案が成立すれば、処罰の対象を原則的に実行後に限定してきた刑法の体系を根底的に覆す、戦前の治安維持法の復活に道を開くことになり、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認を含んだ一連の安保法制と相まって、アベ政権の手によって日本社会が大きく戦時体制へと変質していくきっかけとなりかねない。

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「共謀罪」は組織的犯罪集団の活動として、2人以上で犯罪の実行を計画し、そのうちの一人でも物品の手配などの準備行為をした場合、全員が処罰される。

実際に犯罪を実行していなくても、犯罪への合意だけでも処罰することができるため、捜査では外部からは分からない人間の「内心」を取り調べの対象とすることになり、憲法で保障された思想・良心の自由を侵す懸念が指摘されている。

このため、この法案はこれまでに3回にわたって国会に提出されてきたが、いずれも同意を得られずに廃案となっていたもので、それを今回、アベは数を頼んで、改めて自らの手で成立させようとしており、アベの傲慢さの表れと民主主義への挑戦だと言える。

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今回、新設を目指すのは「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」を処罰する罪だ。

政府は「テロ準備罪」と呼ぶが、処罰すべき犯罪の核となるのは、犯罪の計画や合意という立証がほとんど不可能な抽象的であいまいな内心であり、これまでの共謀罪と本質的には変わらない

犯罪の合意は、直接会って相談や謀議をめぐらす場合のほか、電話、メール、LINEなどの通信やSNSによるものまでを成立の前提条件に挙げ、人と人とのコミュニケーションの手段全般に大きく投網をかけようとするものだ。

注意しなければならないのは、かかってきた電話やLINEでの仲間内での“謀議”に対して、はっきりと拒否や異議の意志を伝えなければ、合意したと捜査機関に推認され、犯罪の構成要件である“謀議に加わった”とされる可能性が捨てきれない点だ。

そうした場合、謀議に加わる積極的な意思がなくても、その場で断り切れないままに摘発される事態も起こり得るし、あるいはさまざまな言語上の障害方言の取違い、相互の勘違いによる受け答え、さらには、捜査機関によっておとり的に仕組まれた謀議のでっち上げなど、一般市民が犯罪の意志がなくても逮捕や家宅捜査を受ける可能性はあることになる。

実際に犯罪行為をしていない段階から、複数の人間の間に「合意があった」と警察が判断すれば、逮捕もできるし家宅捜査もできるとすれば、その後起訴に至らずに釈放されたとしても、警察内部のリストには残るし、家庭や職場、地域の人間関係や仕事上の取引などには生涯取り消すことのできない“汚点”として(「犯罪者だ」とする断定とは別に「あやしい奴だ」という疑いとして)認識され得る。

こうした事態は、実際には痴漢事案ばかりとは限らないが、混雑する電車内で手が触れただけなのにもかかわらず、ごく一部の証言や“被害者”の勘違いのみで逮捕され、長期間の勾留の後に“嫌疑不十分”として釈放されたとしても、善良な市民の人格と生活が根こそぎ破壊されてしまう冤罪事件が後を絶たない状況からみても、「共謀罪」が自分の身に降りかかってくることも十分あり得ることだと認識しなければならない。

「自分はテロ(集団)とは無関係」とか、「テロを起こしそうな奴がいたら、危険だから、証拠より先に逮捕してしまえ」では済まされないのだ。

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また、合意に加えて必要とされる準備行為とは、「資金や物品の手配、関係場所の下見」と具体例が示されたが、その末尾には「その他」が加えられており、「その他」の内容は定義されることなく、閣議決定されている。

「その他」が付け加えられたことによって、恣意的な解釈の幅はほぼ無制限に広がる。「資金や物品の手配、関係場所の下見」とは、町内や職場の花見にもつきものの「準備行為(=花見の場所取り)」なども含まれ、だれでも行うことがあり、犯罪であるはずはない。

しかし「共謀罪」の観点から、捜査機関が犯罪の計画と関連があるとして「(犯罪の)準備行為」であると判断すれば、花見グループの一人がたばこの吸殻をごみ箱に捨てただけでも「火災を引き起こして大勢の花見客を死に至らしめようとするテロであり、その準備行為に加わった」として、“場所取り”や”缶ビールの買い出し”の役を任された新入社員までもが逮捕・勾留されることも考えられる。

この法案が適用対象としている組織犯罪集団とは、当然のことながら「花見を計画した社内グループや町内会の人たち」ではない。

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しかし、条文には例として「テロリズム集団」を挙げているが、その定義はされておらず、条文の末尾には、やはり「その他」が付け加えられていて、場合によっては「花見グループ」が対象とならないとは言い切れない。

政府の統一見解では、普通の団体でも、目的が犯罪の実行に変われば認定される可能性がある。恣意的解釈を用いれば、花見酒で酔ってたばこのポイ捨てをしただけでも「テロリズム集団」と認定されないとは言い切れない。

アベ政権は当初「共謀罪」について、国際組織犯罪を取り締まるために必要と強調してきたが、2020年東京五輪の招致が決まった後は、テロ対策を前面に押し出し、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案を「テロ等準備罪」と説明し始めた。

だが招致決定後、すぐにテロ対策をメインに据えたのではなかった。招致が決まった後の13年12月に閣議決定した政府の治安対策に関する行動計画「『世界一安全な日本』創造戦略」では、東京五輪を見据えたテロ対策を取り上げた章に「共謀罪」創設の必要性を明確に記した文言はない(「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約締結のための法整備」)。

さらに、与党に示した当初法案にも「テロ」の文言は全くなかった。しかし、そのことに強い批判を浴びると、一転して「組織的犯罪集団」の事例として「テロリズム集団その他の」と付け加えた。

そして閣議決定された法案には、第一条の「目的」でも、第2条の「定義」にも、「テロ」の2文字は入らないという迷走ぶりだ。

これでは「テロ対策の看板に偽りあり」との誹りは免れず、“偽称(または詐称)罪”であるとさえ言える。

なぜこんなにアベ政権は迷走するのか。なぜ、これほど迷走してまで「テロ等準備罪」を通そうとしているのか。

その狙いは、過去3度廃案になった「共謀罪」を、「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を変え(目先をごまかし)て、「テロはダメだよね」の風潮に悪乗りしつつ、世論を「共謀罪」成立に向けてリードするところにある。

事実、当ブログのコメント欄*には、数十年も前の三菱重工爆破事件や地下鉄サリン事件などを引き合いに、この「共謀罪」成立を支持する声が寄せられた。このコメント投降者は、警察の取り調べの透明化を図り、法の乱用を防ぐ対抗措置を取れば悪用は防ぐことができるとしている。実におめでたい限りだ

*「コメント欄」→参照:当ブログ『【共謀罪全容判明】人間の“内心”を取り締まりの対象とし、日本を戦前の暗黒社会に変質させる

しかし、そんなことはまさに絵空事であり、戦前の治安維持法が成立して以来、国民の自由を求める声や反戦の運動は徹底的に弾圧され、いかなる抵抗も許されないままに、国民はアジア・太平洋戦争へと総動員されていった歴史がある。

冒頭に述べた小林多喜二や大杉栄らに対する凄惨なリンチ・虐殺事件は、何よりもそのことを雄弁に物語っているではないか。

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そうした風潮を再びもたらしかねないこの法案が、いったん成立してしまえば、乱用を防ぐどのような担保があったとしても、紙くず同然にかなぐり捨てられてしまうことは目に見えている。

しかも、ひとたびこうした形で捜査権限の拡大を許せば、それをレヴァレッジにして、次から次へと警察権力は肥大化し、今でさえ不十分な取り調べの可視化への道は全く閉ざされることになるだろうし、逆に令状なしの電話盗聴、反政権側候補者の選挙事務所への監視カメラの設置などの捜査当局による違法行為は、現状でも十分に横行しており、「共謀罪」成立後は当然、今よりも一層、広まることは間違いない

そのことは、警察が令状なしに車にGPS設置をしたことに対し、つい先日(3月15日)、最高裁が「違法」との判決を下した事件を見ればよくわかる。

この事件は、2006年6月に警察庁が全国の都道府県警に配布したマニュアルに基づいて行われた捜査で、その内容は、容疑をかけた人物の車に無断でGPS発信器を設置することは、「令状が不要な任意捜査である」とするものだった。

そのため警察は、それ以降10年以上にわたり国民のプライバシーを一方的に侵害していたことになり、それに加えて警察庁は、捜査資料には“GPS設置の事実”を残さないよう、各県に指示したことも明らかとなったものであり、この事件は、現在においてすら捜査機関がいかに国民の人権を無視した捜査を行っているかを端的に表す証左と言える。

こうした暴走が止まらない捜査当局の憲法違反、法律違反の数々に、「共謀罪」による事前検束の権限を与えればどうなるか、言わずと知れたことではないか。

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安倍シンゾは国会答弁の中で、当初、法案の成立は2020年の東京五輪・パラリンピックの開催に欠かせないと断言していた。

しかし、3年半前の五輪招致プレゼンテーション(13年9月IOC総会・ブエノスアイレス)では、「(東京は)世界有数の安全な都市」と強調し、結果として招致を掠め取ってきたわけだ。

東京はテロ対策法(「共謀罪」)がなければ五輪を開けないほど危険な都市なのか、世界有数の安全を誇る首都なのか?どちらが本当なのか。

「汚染水は完全にコントロールされている」との嘘八百と合わせてみれば、アベの頓珍漢さと悪質さがよくわかる。このウソツキ総理に、あのイナダあり。“食言内閣”の見本のような政権だ。

東京は「共謀罪」がなければ五輪が開けないのなら、とっとと辞退申し上げればいいだけのことだ。

この点、日本の五輪・パラリンピックアスリートや関係者らも、スポーツばかに徹するのもほどほどに、自分たちも一緒になって誘致した東京五輪の開催が、日本の民主主義の破壊を条件とするものだとしたら、後世のスポーツ愛好青少年たちに向けて、いま、どのような発信をすべきか、よく考えてみる必要があるだろう。

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〔ストーリーは『オリンピック史上もっとも有名な写真★知られざる真実』(フジテレビ「アンビリーバボー」)・写真はAFP

「スポーツと政治は別だ」などというのは馬鹿の一つ覚えの思考停止だ。モスクワ五輪(1980年)やロスアンゼルス五輪(1984年)を引き合いに出すまでもなく、アテネ・スパルタの時代から、スポーツほど、そして五輪ほど政治的なイベントはないと言っても過言ではない。

日本がかつてのように、スポーツを愛する世界中の若者の声を、侵略戦争を遂行することで圧殺してしまった「幻の東京オリンピック1940年大会」が物語る過去を思い出すべきだ。

スポーツばかで生きていけるほど、世界が日本を見る目はゆるくない。

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【ファクトチェック】「テロ」現行法で対処可能 
首相説明に矛盾 

(東京新聞「核心」2017年03月22日朝刊)

今国会では、犯罪を計画した段階から処罰対象とする「共謀罪」を巡る議論が続いている。政府は21日、共謀罪と同じ趣旨の「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を国会提出し、早期に成立させる構えだ。しかし、政府のこれまでの答弁を聞く限り、矛盾や説明や説明不足があるのは否めない。安倍晋三首相の象徴的な答弁について、信ぴょう性を確かめるファクトチェックの手法で検証した。(木谷孝洋)

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「東京五輪開けない」→開催条件に含まれず 
「共謀罪の呼称誤り」→話し合い・準備で罪に


首相は今国会がは今って間もない1月23日の衆院本会議で、国際組織犯罪防止条約を日本が締結するために「共謀罪」法案が不可欠とした上で「条約を締結できなければ、2020年東京五輪・パラリンピックを開けないといっても過言ではない」と述べた。

条約を締結すれば、世界各国と国際犯罪に関する情報交換や捜査共助がスムースになる。首相は、五輪開催国としてテロに万全の体制を備える政府の姿勢を訴えたかったとみられる。

だが条約は違法薬物や人身売買などの国際的な犯罪の取り締まりが目的で、テロ防止に主眼を置いていない。五輪の開催条件にも条約締結は含まれない。締結が五輪開催の条件のように訴える根拠は乏しい。

政府はテロと準備罪について、①現場の下見などの準備行為がないと犯罪にならない②犯罪主体を単なる「団体」から「組織的犯罪集団」に限定する―という要件を追加したことで、過去の共謀罪とは全く異なると説明する。

首相は1月25日の参院本会議で「『共謀罪』と呼ぶのは全くの誤りだ」と強調。「共謀罪」と呼ばれることに抵抗を示した。

だが、テロ等準備罪も犯罪集団のうち一人でも準備行為を行えば「他の人を含めて一網打尽にできる」(首相)仕組み。たのひとははんざい計画を話し合っただけで罪に問われる。「誤り」と断言する首相に対し、野党は「本質は共謀罪のままだ」と反論する。

首相は、犯罪主体を「組織的犯罪集団」に限定したことで「一般の方々が対象となることはあり得ない」とも強調した。

しかし、これまでの審議で「組織的犯罪集団」の定義は不明確なままだ。首相は地下鉄サリン事件を例に「当初は宗教法人として認められた団体だったが、犯罪集団に一変した」と指摘。普通の団体であっても「犯罪を実行する団体」に変わったと認定されれば、対象になる恐れがあることを認めており、「あり得ない」との当初の答弁と整合性が取れなくなっている。

首相も自身の答弁の問題点や批判を考慮してか、最近は断定的な発言をしないよう注意している。

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閣議に臨む金田法相㊨ら=21日午前、首相官邸で

「共謀罪」法案 国会提出

政府が21日に国会に提出した「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案。政府は2020年の東京五輪・パラリンピックを理由に、「テロ対策」を前面に押し出している。3つの事例を挙げて法整備の必要性を訴えるが、政府がテロ対策の「穴」と指摘する事態は現行法や一部法改正で対処可能だ。法案は本当に必要なのだろうか。(山田祐一郎、土門哲雄)

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■テロ対策とは

外務省によると、日本は既にハイジャックや爆弾テロ、核テロリズムなど主要なテロ防止関連条約を13本締結しており、対応する国内法を整備している。犯人の処罰や引き渡しができるよう国際社会と連携している。一方で、もともとの共謀罪創設の理由となっている国際犯罪防止条約は、国連のテロ防止関連条約には含まれていない。

今国会でたびたび使われてきた「テロ等準備罪」の呼称。金田勝年法相は21日の衆院法務委員会でも「罰則の実態や対象犯罪を端的に表す呼称として適切だ」と説明した。

政府が与党に説明するための資料で、「テロの実行」「薬物」など5つに分類していた277の対象犯罪は、閣議決定されていない。政府がどの犯罪をテロ対策と位置付けているのかは分からない。テロ対策になるものもあるが、労働基準法や会社法など、必要性が明確でないものや、組織的威力業務妨害など一般市民が対象となる可能性が排除できない犯罪もある。

■三つの「穴」

「法制上、重大な穴があるのであれば、埋めるのがホスト国の責任だ」。安倍晋三首相は1月の衆院予算委員会で、東京五輪の開催が迫り、テロの脅威が現実になっているとして、法案の必要性を力説した。

政府が指摘するテロ対策の穴は3つ。「化学薬品を製造し、同時多発的に大量殺人を行うことを計画した上で、原料の一部を入手した」「飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画した上で航空券を予約した」「ウイルス・プログラムで電力、ガス、水道などのシステムを一斉に誤作動させ、重要インフラを麻痺(まひ)させることを計画した上で、ウイルスの開発を始めた」。いずれも現行法では対処ができないという。

だが、複数の刑事法解説書は「ハイジャック目的の航空券購入」や「化学薬品の原料入手」を、殺人予備罪やハイジャック防止法などの予備罪に当たる事例として挙げている。東京地検公安部でオウム真理教関連の事件捜査にかかわった元検事の落合洋司弁護士も「サイバーテロも現行法の改正などで対処できる。共謀罪がないと取り締まりに穴が生じるという状況ではない。逆に、共謀罪があってもテロの未然防止には役立たない」と指摘する。

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(転載おわり)


この記事へのコメント

  • サイモン

    そもそも、政府が根拠とする「国連国際組織犯罪防止条約」は、テロ対策のための条約ではありません。経済的利益を目的とする組織犯罪集団(マフィアや日本の暴力団)を対象とするものなのです。

    アメリカに対する2001年の同時多発テロの後に、アメリカや日本政府が後付けでそのように解釈しているに過ぎないのでは。

    日本は、国連のテロ防止関連条約のほとんどを推進し、それに対応して国内法も整備しており、テロ対策の法整備はきちんとされています。共謀罪が成立しなければテロ対策がされていないわけではありません。

    ayameさんのご意見に賛成です。
    2017年03月24日 07:40
  • ayame

    >シナモンさん

    ご来場ありがとうございます。
    ご指摘の通り、政府は「2020年東京五輪開催のためには『国際組織犯罪防止条約』の批准が不可欠」→「条約批准のためにはテロ防止の国内法整備が必要」→「『共謀罪』の創設」というデマで国民をだまそうとしています。

    しかし、日本には「殺人」に対する「未遂」や、「ハイジャック防止」のための「予備罪」その他「凶器準備集合罪」、「麻薬取締」、「(北大生の中東渡航を禁じた)私戦予備罪」などなど、数え上げればきりがないほどの「未遂」以前の「予防」「陰謀」「準備」の段階での処罰を可能とする立法が備えられていて、これ以上の罰則を伴う新たな立法(「共謀罪」)を積極的に肯定する理由は見当たりません。

    しかも、条約は新たな立法を批准の絶対条件としているわけではなく、国内法に準拠するだけで条件を満たすものと解釈されています。

    したがって、これ以上の立法をしようとする理由がない以上、五輪を理由に国民の自由を守る権利を制限しようとするアベ政権のたくらみは、治安維持法の復活を意図するものと考えざるを得ません。

    「戦前レジームへの回帰」というアベの極右志向に迎合してまで、オリンピックを開催する理由は全くないと思います。

    賛同のコメント、ありがとうございました。
    2017年03月25日 01:36
  • aku

    「テロ等準備罪」で危惧される拡大解釈って
    転び公妨による別件逮捕と同レベルだから
    「警察の取り調べの透明化(密室捜査の禁止)」でいいと
    判断したんだけどね。

    調べると「テロ等準備罪」で出来ることと
    「治安維持法」で出来たことは違いすぎる。

    治安維持法で行われたこと。

    ・警察・検察のみで刑事手続きを完了する
    (司法(裁判所)の令状等の手続きを必要としない)
    ・私選弁護人の禁止
    ・被疑者弁護人の弁護士資格剥奪
    ・釈放後も警察の任意で拘束
    ・密室捜査(拷問有)
    ・犯意誘発型おとり捜査

    警察が一市民を陥れようとすれば、
    裁判で身の潔白を晴らすどころか、
    第三者による弁護、警察への抗議や弾劾、
    その他、警察に都合の悪いことの一切が封じられます。

    現在の日本では残っているのは「密室捜査」だけです。
    「犯意誘発型おとり捜査」は
    平成16年の最高裁判例でも否定されています。


    結局、野党は反対ではなく代案を出すべき案件

    「国際組織犯罪防止条約」の締結に反対するか、
    同条約5条「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」の国内法制定の
    「テロ等準備罪」以外の代案を出すか

    「国際組織犯罪防止条約」の締結するなら
    「テロ等準備罪」なりそれに準ずる法律の制定は回避できない。
    反対すること自体が、無意味であり、
    日本の組織犯罪への国際協力を妨害する行為。
    なら、この機会にすべての刑事案件で
    「警察の取り調べの透明化(密室捜査の禁止)」を条件に通したほうがいい。
    2017年03月25日 12:02
  • ayame

    >akuさん

    今回は大変よく勉強しましたね。しかし、「共謀罪」と「治安維持法」では、拠って立つ憲法が違うので、全く同じはずがないのは当然です。私はそんなことを言っているのではないのですよ。

    例えばあなたは、治安維持法では「令状等の手続きを必要としなかった」点を「共謀罪」との違いに挙げています。

    しかし「共謀罪」でも、実際に複数の人間の間に「準備行為」がなくても、「犯罪の合意があった」と警察が推認しただけで逮捕・家宅捜索ができる可能性が残されています。

    逮捕後の段階で「準備行為」が“あった”と警察が証明(検察が認定)しなければ、「起訴はできない=有罪判決には持ち込めない」とされているに過ぎないので、逆に人格の毀損や公安情報の収集などを目的とする逮捕・がさ入れが横行する危険性があるのです。

    それによって、目いっぱいの長期勾留をされ、警察に知られたくない個人の秘密や「別件」での証拠集めをされて、再び逮捕・起訴に持ち込まれる可能性が出るかもしれません。

    その後はお決まりの拷問まがい恫喝や長時間違法取り調べによる「自白の強要=犯罪のでっち上げ」です。ですから、まずは完全可視化を要求するほうが先決でしょう。「現在の日本で残っているのは密室捜査だけ」という認識は、いったいどこから来るのですか?

    現状でも違法な「別件逮捕」が日常的に行われていて、「容疑者」の人権が守られない場合が多くあり、過去の「死刑(または無期)」再審事件などは、ほとんどが「別件」から始まり、「自白の強要」を経て「自白調書を唯一の証拠とした有罪判決」で冤罪が確定したケースばかりです。

    私はあなたのような人に理解してもらいたくて、「痴漢冤罪」や「花見の場所取り=準備行為」などの卑近な例を挙げたのですが、あなたはそれらについて考えるだけの想像力は働きませんか?

    私は国際条約の批准にはあえて反対はしませんが、「共謀罪」を新設してまで批准しなければならないものだとも思いません。事実、「条約の批准」と「共謀罪」は、政府与党(やあなた)が言うようなリンクはしないのです。あなたの言うような「代案」なども必要ないでしょうし、五輪開催も今の日本には必要ないと思っています。原発事故の完全収束のほうがもっと重要です。

    そんなことより、一昨日起きたロンドンでのテロ事件をもう少し考えてみてはどうですか。アメリカやフランスと並んで「テロ対策先進国」とされているイギリスですら、テロは頻発しています。テロは防ぎようがないのです。

    その原因はどこにあり、どう対策すればいいと思いますか?もっと、視野を広げませんか。それとも「治安維持法」的な強権警察国家を、あなたはお望みですか?

    「密室捜査の禁止」と引き換えに「共謀罪」の成立など、もってのほかです。論理が逆立ちしていますし、そんな取引は、まともに人権を擁護しようとする観点からも、あり得ない空論です。

    >akuさんへ追伸

    せっかくおいで下さったのですから、ブログ左サイドの最上段に「『共謀罪』の創設に反対する緊急統一署名」のPRがありますので、ぜひ、クリックの上、賛同ください。とても簡単で、誰にでもできますのでよろしく。ちなみに、私はもう、署名しました。
    2017年03月25日 16:10
  • aku

    >警察が推認しただけで逮捕・家宅捜索ができる可能性が残されています。

    できません。可能性はゼロです。
    現行犯でない限り、裁判所の令状が必要です
    治安維持法の条文には裁判所の令状取得を省略できるとがありますが、
    現行法ではそのようなことはできません。

    >「現在の日本で残っているのは密室捜査だけ」という認識は、いったいどこから来るのですか?

    ・警察・検察のみで刑事手続きを完了する
    ・私選弁護人の禁止
    ・釈放後も警察の任意で拘束
    この三つは治安維持法の条文に由来するので当然残っていない

    ・被疑者弁護人の弁護士資格剥奪
    現在、弁護士資格剥奪(資格停止)は
    国(大審院)ではなく日弁連(弁護士会)の権限

    ・犯意誘発型おとり捜査
    前に書いた様に最高裁で否定されている

    ・密室捜査(拷問有)
    残るのはこれだけ

    >それとも「治安維持法」的な強権警察国家を、あなたはお望みですか?

    視野が狭い。出来る対策はすべて打つべきです。
    強力な権限が必要なら賦与する。
    但し、権限を濫用することを想定し、対抗措置及び監査機構を設置させる。
    「テロは防ぎようがない」だから対策は不要か?
    「放火は防ぎようがない」だから対策は不要か?
    「犯罪は防ぎようがない」だから対策は不要か?
    すべて、否。対策を打つことで可能性を減らすことができる。
    ならば、出来る対策はすべて打つべきです。

    日本の問題点は濫用することを想定しないこと
    これは「治安維持法」に限らす全般的に言える。

    >「密室捜査の禁止」と引き換えに「共謀罪」の成立など、もってのほかです

    現実を見れば「共謀罪」の成立し「密室捜査」は継続する。
    「共謀罪」の成立を防げないのであれば、
    「密室捜査の禁止」をねじ込むのがベターなんですよ。

    「最善」にこだわり「最悪」の結果をもたらすのは愚の骨頂だとは思いませんか?

    正直なところ、「密室捜査の禁止」に加えて
    警察への監査機構を内部監査以外に
    強力な権限を持った外部監査機関まで設置させられればベストですが、
    現状でそこまでねじ込むのは難しいところでしょう。

    あと、法務省のサイトも見ましたが
    「予備罪」は実行犯以外の共犯者を取り締まりを想定している。
    未遂犯への適応は、拡大解釈になる様である。
    「国際組織犯罪防止条約」には「人身取引」や「詐欺」などの「計画する罪」を、
    追加して設立する必要がある。
    複数国にまたがる犯罪やテロを捜査するには関係各国で同一の罪状が必要ですから、
    出来るだけ多くの犯罪に対して「計画する罪」を付け加えたいのでしょう。

    余談ですが、五輪は日本開催反対ではなく持ち回り開催反対です。
    ギリシャ(オリンピア)で固定開催にすべきなんです。
    2017年03月31日 13:11
  • ayame

    >akuさん

    いつも私が言っているように、自分の主張を私に認めてもらいたいのならば、自分のブログを開設してトラック・バックにしてからお寄せ下さい。このコメント欄は、あなたの一方的な禅問答を展開する場ではありませんよ。

    簡単にお答えします。本文に書いたことばかりなので、詳しくはそちらを参照してください。

    「共謀罪」の危ういところは、グループの一人でも「準備行為」に着手していれば、警察が「犯罪の合意があった」と推認しただけで、その集団の全員が逮捕の対象となり得ることです。抽象的な「合意」が犯罪の構成要因となれば、犯罪の具体的な証明がなくても「合意」だけで逮捕状を出す理由になり得るのです。「逮捕・家宅捜索」することと実際に起訴したり、有罪に持ち込めるかどうかは別物なのです。

    「密室捜査の禁止」を入れれば、「次善(密室捜査の禁止の完全履行)」が保証されるわけではなく、それとのバーターで「共謀罪」を認めることは危険です。「最悪」の部類に入る扉をこじ開ける言い訳にされることを意味するだけです。治安維持法の成立過程や運用過程をよく勉強してください。「共謀罪」に反対できないで、どうやって「密室捜査の禁止」を“ねじ込む”つもりですか?それこそお笑い種(ぐさ)でしょう。法律は字面だけで運用されるものではないのです。

    「密室捜査の禁止」を求める(私もそうですが)のならば、「共謀罪」とは全く別に取り組むべき問題なのです。「できる対策はすべて打つ」と言うのであれば、「共謀罪」に真っ向から反対すべきなのです。ここでも、あなたの論理はねじ曲がっています。

    国際条約との関係で言えば、現在の日本の刑法体系のままでも批准は十分に可能です。日弁連のサイトなどを見てください。政府や自民党は、テレビで盛んに嘘を宣伝していますが、それほど国際犯罪が心配ならば、最小限に絞って個別の法律に「予備罪」などを加えて出し直せば済む話です。277もの犯罪に投網をかぶせるような取り締まりの必要は全くないのです。

    私は「テロ対策は不要」だとは一言も言っていません。「放火」や「犯罪」は、あなたの言いがかりです。テロ対策が日本に比べて万全なはずのロンドンやパリでもテロは起こると言っているのです。だから、その対策としての警察権力の増大では防ぎようがない、と言っていることが理解できないようですね。リテラシーを鍛え直してください。

    最後にもう一度。「『共謀罪』反対」の署名はしましたか?もし、次回いらっしゃるのなら、署名を済ませてからにしてください。でなければ、あなたのコメント掲載はお断りするかもしれませんよ。
    2017年04月01日 10:38
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