【安倍訪米とPKO文書開示】戦争状態を「停戦」と言いくるめ自衛隊をトランプの手駒に提供

防衛省は7日、「廃棄した」として隠していた南スーダンPKOの日報が、一転して「見つかった」といって公表した。国民の目から隠しおおせなくなったことを逆手に、憲法違反の海外派兵を、むしろ積極的に国民のノーミソに刷り込む作業に出てきたと言える。

南スーダンには国連平和維持活動(PKO)の一環として日本の自衛隊も参加しているが、その首都ジュバでは昨年7月、大統領派と反大統領派の間に数回にわたって激しい銃撃戦が起きている。

日本のPKO協力法では、紛争当事者間の停戦合意の成立や、日本が活動することに対して派遣先国や紛争当事者からの同意を必要とするなど、「参加五原則」が定められている。

したがって、昨年のこの大規模銃撃戦を「武力紛争*=停戦の不成立」と認めれば自衛隊部隊を引き上げなければならず、また、南スーダンを公式に代表する大統領派と対立する反大統領派を紛争相手(=紛争当事者の一方)と認めれば、自衛隊派遣の同意を取り付ける必要が出てくる。

*「武力紛争」=『(途中から)政府としては、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いが同法(PKO協力法=ブログ管理人注)上の「武力紛争」に当たると解してきたところであり、当該「武力紛争」の一環として行われる「戦闘行為」は、「国家または国家に準する組織の間で行われるもの」である。/なお、政府としては、一般に、実力を用いた同法上の「武力紛争」に該当するか否かについては、事案の態様、当時者及びその意志等を総合的に勘案して個別具体的に判断すべきものと考えている。』(衆院・緒方林太郎議員提出の「質問主意書」〔H28年11月16日〕に対する内閣総理大臣・安倍晋三の「答弁書」)

そのため、何が何でも「停戦の成立」状態が継続していると強弁しなければならない。だから当時の中谷元・防衛相は、「戦闘」という表現を避け、「複数の発砲事案が発生」しているなどの言葉を使い、より印象を弱める操作を繰り返し、自衛隊の現地駐留を継続してきた。

だが実際には、昨年7月8日には270人を超す死者が出る激しい戦闘が行われ、11日には国連南スーダン派遣団司令部がある建物で、中国軍兵士2人が砲弾を受け死亡するなど、実質的に停戦状態は崩れていた。

公開されたのは昨年7月11日と12日に作成された日記で、そこには「戦闘」との表現が複数回あり、その報告を受けた日本国内の陸自部隊も「激しい戦闘が確認される」との認識を示していた。

11日の日報には、政府軍と反政府軍との間で「戦闘が生起」と書かれ、「宿営地周辺での射撃事案に伴う流れ弾への巻き込まれ、市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」などと報告している。

こうした現地派遣部隊の生の記録は、シビリアン・コントロールの根幹に触れる最も重要な一次資料として、当然、国会への報告とそこでの審議に供されなければならない性質のものだ。

だが政府はこれまで隠すにいいだけ隠してきた。昨年7月、フリージャーナリストにより、自衛隊派遣部隊の日記の開示請求がなされた際、防衛省はそれらの日記は「廃棄」したとして不開示とした。

しかし今月7日ついに電子データが統合幕僚監部に残っていたことを認め、その一部を黒塗りにしたものを公開せざるを得なくなったわけだ。(→【additional】参照)

一方では、これまでに300人を超えるほどの死亡があったとされる昨年7月の武力衝突を「戦闘行為ではなかった」と言い張って、国民の目から現地自衛隊の活動とそれを取り巻く環境を徹底的に隠しながら、他方では「文書(=日記)を隠蔽する意図は全くなかった」(7日菅官房長官の記者会見)と述べるなど、情報の隠蔽と操作は度を越している。

安倍ファッショ政権は、こうした国民の目の届きにくいアフリカで、自衛隊による実質的な戦闘・戦争状態の「体験学習」を通して、自衛隊を海外派兵に耐えうる「戦闘部隊=軍隊」へと変質させようとしている。

憲法改悪を待たずに、こうして自衛隊の国軍化を図り、秘密保護法・安保法制に加えて共謀罪の整備を急ぎながら、いよいよアメリカの世界戦略の一端を担うべく、アベは10日のドナルド・トランプとの首脳会談に旅立とうとしている。

《国際平和協力法に基づく国連平和維持活動参加五原則》
――外務省ホームページより

1 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること
2 国連平和維持隊が活動する地域の属する国及び紛争当事者が当該国連平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
3 当該国連平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
4 上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は撤収することができること。
5 武器の使用は、要員の生命等の防護のための必要最小限のものを基本。受入れ同意が安定的に維持されていることが確認されている場合、いわゆる安全確保業務及びいわゆる駆け付け警護の実施に当たり、自己保存型及び武器等防護を超える武器使用が可能。



南スーダン陸自日報 「ジュバで戦闘」明記
「廃棄」一転 開示 PKO停止危惧

(東京新聞2017年02月08日朝刊)

防衛省は7日、当初は廃棄したと説明していた陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を一部黒塗りで開示した。日報は、陸自が活動する首都ジュバ市内で昨年7月に大統領と反政府勢力の「戦闘が生起した」と明記し、「市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」と報告。現地部隊は戦闘の激化を深刻に受け止め、PKO停止の可能性にも言及していた。

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防衛省が開示したのは、昨年7月11、12日の日報など4冊の関連資料。同省は情報公開請求を受けた同7~10日も順次公開する。ジュバでは昨年7月に大規模衝突が発生し、8日には270人以上の死者が出た。11日には市内の国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部がある施設で、中国軍兵士2人が砲弾を受け死亡した。

11日の日報は、こうした不安定な情勢を踏まえ、事態の推移に関する「予想シナリオ」を掲載。大統領はと反政府勢力の関係が悪化した場合、ジュバで「衝突激化に伴う国連(UN)活動の停止」や「大量の国内避難民(IDP)」が発生すると予測していた。

昨年7月の衝突をめぐっては、稲田朋美防衛相が同年秋の臨時国会で「国際的な武力紛争の一環として行われる人の殺傷や物の破壊である法的意味の戦闘行為は発生していない」と好調。防衛省の武田博史報道官は7日の記者会見で、日報に記された「戦闘」について「一般的な意味で用いた。政府として法的な意味の戦闘が行われたとは認識していない」と説明した。

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(クリックで拡大・傍線はブログ管理人)


(転載おわり)




緊迫「激しい銃撃戦」 PKO日報 黒塗り開示
(東京新聞2017年02月08日朝刊)

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(クリックで拡大)

防衛省が廃棄したとの説明を覆し、一転して開示した陸上自衛隊による南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報は、陸自が活動する首都ジュバで昨年7月、大統領派と反政府勢力の「激しい銃撃戦」が発生した様子を記している。戦闘の発生場所や陸自の警備体制などを黒塗りにした日報は「弾着」「負傷」などの緊迫した表現が目立つ。

開示されたのは昨年7月11、12日の日報。このうち11日は陸自宿営地に隣接するビルで激しい銃撃戦が起きたことが、すでに明らかになっている。日報の「ジュバ市内衝突事案について」というページにも、現地時間の午後1時15分ごろ「宿営地南方向距離200トルコビル付近に砲弾落下」との記述がある。距離の単位はメートルとみられる。

戦車による砲撃を意味する「TK射撃」を含む激しい銃撃戦があったことも報告されている。

当時の陸自部隊の状況は「人員装備品異常なし」と記されているが、隊員への指示や警備レベルの内容なすべて黒塗りにされている。

他のページには、陸自宿営地周辺の射撃音が6月上旬から断続的に確認されていたとも明記されているが、当時の中谷元・防衛相は銃撃戦の発生などを認めつつ「武力紛争に該当する事態ではない」と説明していた。(新開浩)

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(クリックで拡大)

(転載おわり






【additional】(2017年02月09日)

悪質な防衛省は、今回の「日報」公表までにさらに1ヵ月以上隠し続けていたことが発覚した。政府による“軍事”情報の独占が最も危険であることは、アジア・太平洋戦争で立証済みだ。

「戦前・戦中レジームへの回帰」を政治目標とするアベ政権のもとでは、シヴィリアン・コントロールの形骸化が恐ろしいほど急ピッチで進んでいる。

PKO日報 12月下旬把握 防衛省 公表まで1ヵ月以上
(東京新聞2017年02月09日朝刊)

防衛省は当初は廃棄したと説明した陸上自衛隊の南スーダンPKOの日報を、一転して一部黒塗りで開示した問題で、同省は8日、再調査で日報の存在を把握した時期は昨年下旬だったと明らかにした。統合幕僚監部は「黒塗り部分を決めるのに時間がかかった」と説明するが、存在の事実を1ヵ月以上公表していなかったことになる。

(転載おわり)

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